片流れ屋根の上部からやわらかな光を取り込む平屋住宅 札幌市Kさま

設計/合同会社 西川幸宏建築都市設計事務所

Kさま邸の特徴

Kさま邸は、片流れ屋根の形状を利用した吹き上げと高窓(ハイサイドライト)からの採光で実際の面積以上に広さを感じられる平屋の住まい。リビングダイニングを中心に個室がつながる間取りになっており、家族との距離を近くに感じられるのも魅力です。

「長く安心して落ち着いていられる場所にしたい」。新居への想いをこう話されていたKさま。弊社を選んでいただいた理由としては、住宅性能の高さです。この家も、住宅断熱性能はUA値が0.20で、BELS(ベルス・建築物省エネルギー性能表示制度)において最高ランクの★5つを獲得。この性能は、国土交通省が定めた断熱等性能等級において最上位の「等級7」に相当します。

また、「真四角な家の造りが好きではない」とのお話を伺い、片流れ屋根を採り入れ、モダンな外観になりました。

玄関には、土間収納、大容量のシューズクローゼット、コート掛け、可動棚を設け、たっぷりの収納スペースを確保しました。

ロボット掃除機がスムーズに行き来できるよう、室内全体がフラット仕様。引き戸を開ければ、各個室につながります。

キッチンはファミリークローゼットにつながっており、その先は主寝室です。

「掃除しやすい造りに」とのKさまのご要望で、浴室の壁には鏡やカウンター、棚をあえて設けずシンプル仕様に。

書斎には、壁一面の本棚と窓際にはカウンターを造作。大きな窓からは外の景色が見えてくつろげる部屋になりました。

※K邸はiezoom(いえズーム)に掲載されました。許可を得て転載いたします。

Kさんはご夫婦と息子さんの3人家族。仕事の都合で、当時住んでいた旭川市から札幌市に異動になるタイミング(2022年2月)で、マイホームを完成させました。

家づくりは、拓友建設(札幌市北区)に依頼しました。同社は、設計事務所を構える建築家と連携し、設計は建築家が、施工は拓友建設が担うことで、デザイン性とオンリーワンのプラン、高断熱・高気密が両立する家づくりが好評です。

今回はKさん家族の家づくりのお話をうかがいます。

実家の隣に建てた家は、将来を見据えて平屋に

Kさんの家は、片流れの屋根が印象的な平屋造りです。年齢を重ねてからの階段の上り下りを考え、ご夫婦ともに当初から平屋を希望しました。

この土地は、もともと奥様の祖父母の家があった場所。転勤で札幌に移ってくるという見込みが出てきたとき、奥さまの実家に隣接する祖父母の家が空き家になっており、ここに新居を建ててはと話が進んだそうです。

家づくりは、建築家の西川幸宏さんと打ち合わせを重ね、プランを決定していきました。

玄関からキッチンへ共働きの毎日をラクに

玄関を開けると、右手にはゆったりしたシューズクロークが備えられています(下左)。

シューズクロークとひと続きの土間には、クロークや収納棚も設置しました。右手の引き戸を開けるとリビングにつながります(右)。

右手の扉は保冷庫、手前に資源ゴミ

玄関ホールを入ったまっすぐ先はパントリーになっており、キッチン、洗面脱衣室へと一直線につながっています。

キッチンはI型ですっきりと。

奥さまの希望で、ミーレの食洗機を据え付けました。共働きのため、大容量食洗機のおかげで家事がラクになり、生活の質が上がったと話します。

キッチンからはLDKやほかの居室が見渡せます。

自然光を四方から取り入れ、明るいLDKを実現

広々としたLDKは、家のほぼ中央に位置していて、日中も明るい光が差し込みます。

「自然光が多く入る明るい家にしてほしいと、設計の西川さんに伝えました」と、Kさん。吹き抜けの片流れ屋根にしたことで天井が高くなり、そこに高窓を設置して東側の日差しを取り入れています。

どの部屋にいても冬は暖かく、夏は涼しくて快適だとご夫婦は話します。拓友建設が標準採用する外張り断熱をベースとしたSHS工法により、高い断熱・気密性能を確保しました。また換気ファンに頼らず自然の力で室内をくまなく換気する「パッシブ換気システム」を導入しています。

「本が多いので、備え付けの本棚を」という奥さまの要望で設けたのが書斎です。壁一面の本棚と、窓に面したカウンターは造作してもらいました。書斎は西側に位置しており、窓からの日差しをLDKに届けるため、出入り口は引き戸にして開け放って使うことが多いそう。

書斎の隣が息子さんの部屋になっていて、初めての自室に喜んだそうです。こちらも南に面していて、明るい室内です。

回遊動線にして、無駄なく動ける空間に

キッチンの先には洗面脱衣室と浴室があります。

また、キッチンからはファミリークロークを経て、ご夫婦の寝室へとつながっています。この寝室からはリビングやトイレにも直接向かえる動線を作りました。

LDKを中心にしながら、「回遊型で無駄なく動ける造りにしたい」というKさんの希望を叶えた、動きやすい間取りとなっています。

Kさんご夫婦に聞きました。

Q 家を建てることになって、まず何を考えましたか?

奥さま 異動のたびに賃貸住宅を転々としてきましたが、ストーブをつけないと寒すぎたり、エアコンがなくて夏の暑さが辛かったり、湿度が高くてカビが発生しやすかったりと、住みにくい部屋で暮らしたこともありました。なので、建てるなら断熱性能の高い家にしたいというのがまず第一条件になりました。

 そこで、札幌で断熱・気密に優れた家づくりをしている住宅会社をインターネットで探しはじめました。なかでも「iezoom」はとても参考になりました。拓友建設を知ったのも、「iezoom」がきっかけです。

Q  拓友建設に依頼した決め手は何でしたか?

奥さま 拓友建設を含め、札幌にある工務店4~5社に一斉にメールで問い合わせたのですが、じつは最初から拓友建設がいいなと思っていました。パッシブ換気に興味を持っていたのと、住宅性能の高さ、外部の建築家とつくるという点に魅力を感じたからです。

旭川から札幌に行き、実際にお会いして話をうかがい、さらに質問が出てきてその後もメールのやりとりをさせていただきました。とくにパッシブ換気システムでは細かいことまでお聞きしたのですが、終始担当の妻沼さんの対応がとても丁寧で信頼でき、お願いすることにしました。

Q 建築家に設計を依頼するととことん話し合いができる半面、時間がかかりそうですが?

奥さま 打ち合わせの段階ではまだ旭川に住んでいたので、設計の西川さんとは2週間に1度くらいの割合で、オンラインで打ち合わせをしたり、実際にお会いしたりしていました。8~9か月かかりましたが、お会いする回数が多い分、安心感につながっていったと思います。

ほかの住宅会社とは、打ち合わせの頻度などの話にまで至らなかったので比べることができないのですが、ある程度パッケージが決まっていて打ち合わせもそれほどかからないけどプランに自由度が感じられない会社もありました。

Q 完成して2年が過ぎましたが、住み心地の感想は?

ご主人 冬とても暖かいです。真冬の時期でも日中は暖房をつけず、夕方帰ってきてから明け方までの時間帯だけつける生活ですが、寒いと感じたことがありません。家の中の動線も良く、動きやすいですね。

奥さま 拓友建設のパッシブ換気システムには安心感があり、住んでいても夏涼しく快適で、満足しています。隣に住む両親が高齢になってきているので、このタイミングで近くに住めたこともすごくよかったと思っています。

【建築概要】

構造・工法在来木造・SHS工法
断熱(壁)吹込グラスウール105mm+スタイロエース75mm
断熱(屋根・天井)ブローイング400mm
断熱(基礎)外側スタイロフォームAT50mm+内側スタイロエース50㎜、土間下スタイロエース30㎜
断熱(窓)トリプルガラス樹脂サッシ、一部Low-Eペアガラス
換気パッシブ換気+第3種換気
暖房床下温水暖房

【性能】

UA値0.20W/㎡・K
C値0.22cm2/㎡