2階リビングのナチュラルモダンな家 札幌市Kさま

Kさま邸の特徴

拓友建設と建築士・野際礼子さん(N建築設計室)のコラボで実現した札幌市Hさまのお宅は、無垢の床材や現し天井のおおらかな2階リビングで、ホーローシンクやホワイトボード腰壁の付いたこだわりキッチン、教室開催に最適な1階のピアノ部屋など、随所にご希望を反映した住まい。階段の読書コーナーはお子さまたちもお気に入りです。

設計/N建築設計室

1階ピアノ室とプライベートな裏庭を実現  

Kさまはアウトドアが趣味のご主人と、ピアノが得意な奥さまとお子さま2人の4人家です。奥さまが自宅でピアノ教室を始めるため、2階にリビングと子ども部屋を、1階の玄関近くにピアノ室を設ける間取りを希望されました。

建設地は地下鉄の駅から徒歩圏内で通勤・通学に便利な場所にあり、ご主人の実家も歩いて5分という好立地ですが、間口が狭くて奥行きがある形状が課題でした。

野際さん「敷地の奥の方に家を配置すると、道路までのアプローチが長くなり除雪が大変です。ご主人がアウトドア好きだと知り、建物を敷地の真ん中あたりに配置し、往来から見えない北側に裏庭を確保するプランを提案しました」。

プレゼン用の図面では「キャンプ場」となっていた裏庭。ご主人も奥さまも野際氏の遊び心あふれる提案に心躍ったそうです。通り側には使いやすくデザインも良いカーポートと、一体型の外物置を設置しました。玄関内には防犯のため自転車置き場も設けています。

野際さん「自転車置き場はご主人からの唯一のご希望でしたので、ぜひ叶えて差し上げたいと思っていました。常にご夫婦双方の意志が反映された住まいづくりを心がけています」。

開放的な2階リビングは無垢フローリングも

インテリアはシンプルでありながら、心地よく暮らせる工夫がされています。

2階リビングはコストを抑えつつ天井を高く見せるため、梁や天井下地を見せるデザインに。木の温もりも感じる開放的な空間になりました。小屋裏まで室内空間として利用できる外張断熱(屋根断熱)のメリットを生かした手法です。

幅3.6mのテレビボードは拓友建設オリジナルの造作ですが、このサイズだと既製品より造作のほうが経済的で、好みのデザインも叶いやすいと考えています。

無垢のフローリングもご夫婦のご希望でしたが、優先順位を整理して予算を割り振ることで実現しています。

キッチンカウンターは手入れがしやすく美しいホーロー製をセレクト。カップボードは掃除しやすい素材で造作したオリジナルで、1階ユーティリティにある洗面台も同じ材料で造っています。油汚れも落としやすいと好評です。

キッチンカウンターの腰壁はホワイトボードで仕上げました。取材の日は天気予報の英訳が解説付きでビッシリと書き込まれていて、リビングの座卓につくと、ちょうど目線の高さで読むことができます。こうした環境なら、幼い頃から自然と英語が身に付きそうです。

ホールを挟んでリビングの向かいにある子ども部屋。「キッチンで料理していても子どもたちの様子がわかる位置に子ども部屋をつくりました」と奥さま。

外から帰ったらすぐ手を洗えるよう、子ども部屋のそばに小さな洗面台を設置しています。

「自分の部屋とは別に子どもの居場所を造ってあげたい」という奥さまの意向で、本好きなおこさまたちのために、階段の登り口に大きな書棚を造りました。お兄ちゃんは学校から帰ると、真っ先に本を取り出して読書するのが日課です。玄関とホールを仕切る幅広の引き戸を右にスライドさせると本棚の幅にピッタリと収まる仕組みです。

奥さま「冬は玄関との間仕切りに、夏は本に埃がかからないよう書棚の方に寄せています」。階段の1番下の段の蹴込み部分に並んだ丸い穴は、床下暖房の暖気の吹き出し口。冬でも暖気が循環し、室内は場所を問わず快適な温度を保ちます。

WEBで情報を集め、夏も冬も快適な家に

断熱仕様は外張り断熱で、基礎が押出ポリスチレンフォームB3種75mm、屋根が同175mm、外壁が高性能グラスウール16kg100mm+押出ポリスチレンフォームB3種75mmと国の省エネ基準を大きく上回る性能。基礎断熱材は「スタイロフォームAT」というシロアリ対策の防蟻剤が入った断熱材を採用されています。

奥さま「1番寒かった2月でも朝と夜、それぞれ3~4時間程度の暖房で十分に快適です。特別省エネを意識しなくてもガス料金は最大で2万7000円程度に収まっています。夏も風通しが良く、バルコニーの上まで延びた庇が日差しを遮ってくれるので涼しく過ごせます」。

ハウスメーカーなどを見学し、パターン化されたプランにがっかりしたというご主人。家づくりの軌道修正を図ることにしたそうです。奥さまも断熱・気密性能など技術的なことも含め猛勉強。インターネットで性能が確かなビルダーをピックアップし、その中から設計事務所との連携で住む人のニーズに沿った家づくりを提案する拓友建設を選んでくださいました。

奥さま「『札幌良い住宅』(現:いえズーム・iezoom)の記事を読み、施工した家を実際に見たいと思いました。妻沼さんは私達の要望をしっかりと受け止めて下さる方でした。どんな質問にも丁寧に答えてくれる真摯な対応が胸に響きました」。ハウスメーカーも含め15社のうち絞り込んだ5社から見積もりをとり、吟味を重ねた末に決断されたそうです。

「野際さんも私たちの話に親身に耳を傾けて下さる方でした」。営業担当者を介さずに設計者と直接やり取りできるので意思の疎通がスムーズ。安心して家づくりを進められたそうです。

「本物のオーダーメイド」

限られた予算で出来ることを妻沼社長や野際氏と突き詰め、何度も図面を修正し、出来上がったマイホームは、ご友人に『普通はここまで対応してくれない』と言われたそうです。

「本当の意味での注文住宅だと思います」とご主人。

奥さまはアパートでは出来なかった家庭菜園を楽しまれています。「立派な大根とほうれん草が収穫できました。音を気にせず生活できるので子どもたちものびのび。ストレスのない環境で家族4人がそれぞれに好きなことをしながら新しい生活を楽しんでいます」。