下見板天井のある家 札幌市Tさま

Tさま邸の特徴

札幌市Tさまのお宅は、将来を見据え、1階を中心としたライフスタイルプランを軸に、隣接住宅との景観バランスや、日照に配慮した2階ボリュームで構成されています。家族が集うリビングには下見板張り天井を採用。木の温もりあふれる空間は光の陰影によって刻々と表情を変え、時や季節の移ろいを感じることができます。札幌版次世代住宅基準のトップランナーを取得した高性能住宅です。

設計/株式会社ホリゾンアーキテクツ一級建築士事務所

大きな庇や窓のレイアウトの工夫によって、日照や熱のロス、換気、プライバシー確保、景観の問題が一気に解消。個性的なデザインと優れた性能の両方を叶えています。

Tさまは、ご両親の実家近くにあるマンションに住んでいましたが、お子様が生まれたこともあり、実家の隣に自宅新築を決意。建てる以上は、満足できるものにと、プランも性能もこだわりました。

天然木をふんだんに使ったLDK。リビングにある大きなテラス窓のおかげで室内はとても明るくなっています。テラス窓には「YKK APW430 大開口スライディング」を使用。トリプルガラス入りなので窓際に寄ってもヒンヤリしません。天井は下見板天井といって、羽目板のような仕上がり。今回初めてやりましたが、ダウンライトの光が板に柔らかく反射し、とても良い雰囲気です。

ダイニングには、L字型の大きなカウンターを造作し、廊下に目隠し代わりになる柱を並べて家事室やワークスペースとして使えるようにしました。在宅ワークが多くなってきた昨今では、こうした間取りに人気が出てきそうです。

※T邸はIEZOOM(いえズーム)に掲載されました。許可を得て転載いたします。

札幌版次世代の最高レベル×建築家が設計する家

高断熱・高気密による高性能の家づくりで実績のある拓友建設(株)。同社は、自社では設計せず、設計事務所とのコラボで家づくりに取り組んでいることでも知られています。今回は、札幌版次世代住宅基準「トップランナー」の住まいを建てたT邸を紹介します。チームを組んだのは、(株)ホリゾンアーキテクツの一級建築士 一原寿寛さんです。

木の質感が映えるT邸の1階パブリックスペース。22.2畳の広々としたLDKで、左手前が6畳の小上がり、中央部がワークスペース、その反対側にはキッチンが配されています。
 
家を建てるにあたり、10社以上の資料を取り寄せ、モデルハウスも見学して検討したというTさん。「暑い、寒いで困りたくない、というのがまず基本にありました。最初からトップランナーありきで考えていたわけではありませんでしたが、拓友建設の家づくりを知り、性能と施工の信頼性で選びました」。
 
札幌版次世代住宅基準とは札幌独自の高断熱・高気密住宅の基準で、新築住宅の場合5段階の等級があり、最高レベルがトップランナーです。
 
「トップランナーは高いハードルで、なかなか各社取り組みにくいのですが、弊社では当初からトップランナーに取り組み、施工させていただいています。T様のお宅は延床面積約46坪の大きな住宅ですので、暖房費も比例して高くなりがちですが、トップランナーであれば30坪程度の住宅と変わらない生活ができます。さらに建て主さまは補助金も受け取れる。こんなにいい制度はありません」と、拓友建設の妻沼澄夫社長。

実家の敷地内に建つため、建物の配置や外観デザインを十分に考慮

T邸の玄関に飾られている、札幌版次世代住宅基準「トップランナー」の認定証。UA値0.17W/m2K、C値0.5cm2/m2。札幌版次世代住宅基準の最高性能グレードの証です。

右がT邸、左がTさんの実家の建築模型。この模型を製作したのは設計士の一原寿寛さんです。

一原寿寛さん

「ご実家の敷地内に建てるため、まずスタートしたのが配置計画。多くの石が置かれた庭でしたので、残す石、移動する石、撤去する石を決めることが必要でした。また、庭の樹木も全て実測して、高さ何mの木がどこにあるか、プロットを書いて、そこから配置を考えました」。

広々とした敷地に建つT邸外観。左手前に実家の建物があります。今まで風情豊かな庭を眺めて暮らしていたご両親。その庭に建物が建つので、重要視したのはご両親の暮らしに影響がでないようにすることでした。「総2階にした場合、午前中ご実家のリビングに光が入りにくくなり、圧迫感もあるため、外観は平屋部分と2階部分の2段構成にして、ご実家に影響がでないようにしました」と一原さん。
 
1階の外壁はアイボリー、2階はオータムレッドのガルバリウム鋼板を採用。玄関まわりや1階のセットバックした部分は道産杉の羽目板張りで、深くした庇も印象的です。
 
「トップランナーの家は単に断熱性能だけ上げてもだめで、日射の取得や遮蔽なども考えることが必要です。」T邸の外観は庇により夏場の日射のコントロールをするとともに、1m近く庇を出しているためテラスデッキに雪が積もりにくいのも利点です。

全ての窓に高い断熱性能を誇るトリプルサッシを採用しています。テラスに面したリビング・ダイニングの大きな窓は、引き違いではなく片引きのスライディングサッシ。しかも軽くて、片手の指で開けることができます。ここから眺める庭も見事です。

LDの天井は下見板張り、和室の小上がりは将来撤去できる可動式

リビング・ダイニングの天井は下見板張り。夜はダウンライトの反射により陰影が生まれ、素敵な雰囲気を醸し出すそうです。下見板を採用した理由を一原さんにうかがいました。「トップランナーというハイスペックな住宅でありつつ、木の良さをどこかに出していきたいと考えました。最終的に、下見板を内装材として天井に張って、木の持つ温かみや質感を表現しようと決めたのです」

テレビの背面の壁は、天井と同じ下見板張りで仕上げています。完成した木の壁面に神棚を設置すると、色調も質感もぴったりで素晴らしい一体感が生まれました。

ダイニングとキッチンの壁はダークグリーン。1階のフローリングは、ナラの無垢材に塗装したもの。「このダイニングの椅子に座って見るリビングや小上がりの雰囲気が、特に気に入っています。とても落ち着きますね」とTさん。「私も一番好きなのが、リビングと小上がりの雰囲気です」と奥さま。

抹茶色の壁と12cm角の大黒柱が映える和室は、6畳の可動式小上がり。床からの高さは約30cm、引き出し収納も設置されています。リビングの延長の空間として、和室がほしかったというTさん。「老後は1階で生活を完結できるように、段差を解消してバリアフリーにしたい。そのため将来、撤去しやすい可動式にしてもらいました」。

置き敷きの畳を外すと、掘りごたつ調に早変わり。「ここで仕事できるようにしたいが、ふだんはそれとわからないようにしたい」というTさんが、「掘りごたつ風に」というアイディアを出しました。「写真のように、造作した座卓がスマートに納まるよう設計の際に工夫してTさんのご要望にお応えしました」と一原さん。和室の用途を広げるナイスアイディアです。

キッチン続きに広々としたパントリーを配置、パントリー内に保冷庫も

対面式キッチン。手元が見えないようにしてほしい、との要望に応えて、キッチン前にダークグリーンのモザイクタイルを張った奥行20cmのニッチを設けています。右手は広々としたパントリーです。

ダークグリーンの壁にマッチしたカップボードは、当別町の家具工房「旅する木」にフルオーダーしたもので、美しい木目と質感が素敵です。材質はブラックチェリー。

造作の棚を豊富に配したパントリー内部。右手は保冷庫で「冬場、外気を取り入れてちょうどいい温度で冷やせるため、野菜や果物が長持ちします」と一原さん。
キッチンからも玄関ホールからも出入できるウォークスルーのパントリー。奥さまは「玄関からつながっているので、買い物から帰ってきたらすぐ保冷庫と冷蔵庫に入れられて便利です」と笑顔で話してくれました。
 
壁は道産トドマツ合板の表し仕上げ。調湿作用があり、温かみある質感も素敵です。この後ご紹介するスキールームや、クローゼットでも使用しています。

小粋なルーバーとL型カウンターを配したワークスペース

リビング・ダイニング続きで、キッチンの反対側に位置する空間ワークスペース。このワークスペースの入り口には横ルーバーの壁面をあしらい、飾り棚を演出。和室側は縦ルーバーを配してPCコーナーが丸見えにならず、木調の温かみを感じさせる造り。本棚組み込みのL型カウンター、縦・横のルーバーともに、道産トドマツで仕上げています。
 
ルーバーの背後には、鋼製のブレースが斜めにクロスして入っています。このブレースは構造上必要な筋交い。木製では太くて目立つところ、鋼製にすることでスリムに目立たなくなっています。さらにルーバー状の飾り棚を設けることで、ブレースの存在感をうまく消した機能的なデザインとしています。

本棚を組み込んだL型カウンターの奥行は約50cmもあります。このワークスペースを提案したのが、一原さん。「ここで食事したり、お子さんの将来のスタディカウンターとしても活用できるようにL型で広めのカウンターにしました」。

木の表情でリビング・ダイニングにアクセントを添える飾り棚。横ルーバーがおしゃれなうえ、圧迫感もありません。互い違いに設置した棚は、飾るものに合わせて移動できる可動型です。

玄関の土間続きにスキーの手入れをするための趣味室を配置

写真右手は玄関から直結したスキールームで、土足のまま入ることができます。「スキーの手入れをする部屋を絶対作りたかったのです」とTさん。

Tさんの趣味のひとつがスキー、多いときは1シーズンに50日ほどスキー場へ足を運ぶそうです。そこで玄関土間から直接入れるスキールームを作りました。「これから作業台や収納などをDIYしようと思っています」とTさん。

アール形状の広い玄関ホール。フレッシュグリーンの壁部分はパントリーです。

1階に大型ウォークインクロゼットと広い洗面脱衣室、家事動線もスムーズ

1階に3畳の広いウォークインクロゼットを配置。洗濯し衣類をしまうという家事動線を、ひとつのフロアで完結する設計です。

広い洗面脱衣室。洗濯機とスロップシンクを囲むように、造作の収納棚をずらりと設けています。

8畳のフリースペースと将来間仕切り可能な子ども室を配した2階

2階には8畳のフリースペースが広がります。将来的には、左端に写っているトドマツ3層合板のテーブルを使い、テレワーク用に使うことも想定しています。本棚はTさんのご要望に応える形で造作しました。天井までたっぷり収納できますし、将来のレイアウト変更を考えて移動して使うこともできる分割式にしています。

ストレスフリーの住まいが実現、設計・施工ワンチームによる家づくりに大満足

札幌版次世代住宅基準の最高レベル、トップランナーで建てたT邸。住み心地と住まいづくりの感想をお聞きしました。
 
「ストレスフリーで過ごせる家です。11月に入居したのですが、外出から帰ってきて、ドアを開けた途端、暖かくて幸せ感がありますね。間取り的にも自分の希望を伝えてしっかりとかなえてもらい、フルオーダーの住まいに満足しています。その窓口になっていただいたのが設計士さんですし、設計・施工のチームで丁寧に取り組んでいただき、拓友さんにお願いしてよかったです」とTさん。