札幌で築42年の住宅を性能向上リノベ(1)

(上)リノベ前の外観
(下)リノベ後の外観

先日、築42年の住宅を性能向上リノベーションしました。
地元の腕利きの大工が42年前に建てた、立派な家です。室内は、旅館のような豪勢な造り。なかなかこのような家にはお目にかかれません。

リノベーションの設計は、 (株)ホリゾンアーキテクツ一級建築士事務所の一原寿寛さん。隣の息子さんの家と同じ設計者です。デザインを揃え、ガルバリウム鋼板貼りとしながら、色は既存建物の外観を踏襲することで、「新しさと懐かしさ」を表現しました。

また、建物左端に半島のように突き出た洋室は撤去(減築)することで、冷暖房負荷の低減を考えています。

上の写真はリノベ後ですが、リノベ前の姿を極力残しています。

室内の壁に杉板を使ったり、柱には無垢のラワンが使われている箇所も。東南アジアで採れるラワン材は、伐採が規制されていて今では柱に使える品物は手に入りません。かなり珍しいものです。

廊下にある柱はエンジュでしょうか。床柱に使うような立派な柱です。


リビングから見たペチカ(写真右)

暖房はペチカがあり、耐火壁としてレンガを玄関ホールとの間仕切りに使っていました。

実はこの家、昨年当社が新築したT様邸のお父様の家です。同じ敷地内にありますので、T様邸新築の打ち合わせを何度かお父様の家で行うことがあり、その立派な造りに感心していました。

ところが、このお父様の家は、冬かなり寒かったそうです。広さも普通の家の3軒分近くあり、灯油代がとてもかかっていたとか。それで設計者の(株)ホリゾンアーキテクツ一級建築士事務所・一原寿寛さんに「断熱リフォームしたい」と相談されていました。

一原さんは、断熱リフォームするにはノウハウがあり、実績のある建築会社を選ばないとうまくいかないことを伝え、当社を推薦してくださいました。そこで、T様邸の新築工事が終わった後に性能向上リノベーションをすることになったのです。

今回のリノベーションでは、減築(家を小さくする)した上で、間取りの一部変更やキッチンなど設備の入れ替えを行いました。また、可能な限りバリアフリー化を進めました。性能面では、札幌版次世代住宅基準「改修住宅」におけるハイレベル相当の高断熱高気密レベルを目指して断熱・耐震改修を行いました。

一原さんは、「価値ある建物を後世に残していきたいというお施主様の想いをくみとり、内装は極力残しながら快適に暮らせる住まいを意識しました。室内からの断熱改修をできる限り避け、外部からの断熱改修、耐震改修を道立北総研の断熱改修マニュアルに従うなど、確実な断熱性能・気密性能の確保を目指した設計としました」と話しています。

工事後は、ねらい通り住宅性能が大幅にアップ。冬の訪れを楽しみに待ちたいほどです。

改修費用ですが、同レベルの性能を持つ新築住宅の工事費用に比べて約3分の2以下におさまりました。断熱性は新築住宅の最高レベルに近く、耐震性も新築住宅並みに引き上げています。そして、貴重な木を使った素晴らしい建材はなるべくそのまま使いました。

次回のブログでは、改修後の写真と、改修した具体的な内容をご紹介していきます。