「古家付き土地」をご検討の場合はご注意を

札幌の地価は、景気の回復とともに上昇中

北海道が毎年行っている地価調査によると、札幌市内の住宅地の平均価格はこの8年で約1.5倍、28000円/m2ほど上昇し、86000円/2になりました。これは1998年以来23年ぶりの高値です。

北海道住宅新聞2021年11月15日号から(掲載許可いただいております)

戸建住宅の建物平均価格も9年で38000円/m2、126000円/坪ほど高くなっています。札幌では延床面積で110m2くらいの住宅が多いので、仮に200m2の土地を買って110m2の家を建てると、8~9年前は約3000万円で建てられたのが今は約4000万円かかることになります。1000万円値上がりすると「高いな」と思われる方が多いと思います。少し前に家を建てた人に話を聞いたら、価格の安さにうらやましくなるばかりかもしれません。

古家付きの土地

土地の値上がり率が大きいため、不動産業界では割安感を出そうとしているのでしょうか。最近は、札幌では「古家付き土地」の売り出しが多くなっています。

これは、不動産として価値の付かない築40年以上の古い家を取り壊しせずに「土地」として売っているものです。本来は、古い家を取り壊して更地にし、「いつでも家を建てられますよ」という状態にして売るものですが、家の取り壊し費用が年々上がっているので見かけの価格を安くするために取り壊ししていないようです。

20年ほど前なら、家の解体費用は100万円もあれば十分でした。しかし、分別解体の考え方が導入され、ゴミと資源をきちんと分けるようになると、解体費用は2倍以上になりました。最近、解体費がさらに上がってきています。法改正により、建物の解体前にアスベスト(石綿)が含まれているかどうかの調査が義務づけられ、調査費用が上乗せされます。さらにアスベストが含まれている場合は解体方法が複雑になり、解体費用が高くなります。古い住宅ほどアスベストを使っている可能性が高まりますので、「古家付き土地」はリスクがあると言えます。

1200万円の「古家付き土地」を掘り出し物だと思って買っても、家を建てられるようになるまでに300万円近くお金がかかるかもしれないのです。そうなると、割安な土地を買ったとは思えません。そこで、「古家付き土地は、価格の安さにひかれて選ばない方が良い」と考え、慎重にご検討ください。

もちろん、土地は出会いが大事ですので、「この学区でないとダメ。スーパーにも近くて便利だからここがほしい」など、お客さまの強い思い入れがございましたら、それは大切にしていただき、当社までご相談ください。土地が決まっていれば住宅の設計はスムーズに進みます。